2009年06月23日

体育館:ライブレビュー

開演前
開演前(川口)

folk squat
folk squat(川口)

folk squat(工藤)

ライブ動画


トップを飾ったfolk squitは、ギター・ボーカル、ベース、ラップトップに、COMA*よりサポートドラムを加え3人編成で広い体育館に登場。ゆるやかに集まってきたお客さんはまだエンジンがかかっていない様子だったが、マイペースに芯の通った演奏を見せてくれた。洋楽の影響とエレクトロニカの要素が強く感じられる彼らの楽曲だが、ライブは少ない音数とアンサンブルで聞かせる、職人的要素を感じさせるもの。生音の隙間を埋める電子音が実に心地よく響き、水彩絵の具を塗り重ねていくような空間作りは体育館というシチュエーションには全然合っていなかったものの(笑)、爽やかに吹き抜けるスタートに相応しい演奏だった。(柳川春香)

HB
HB(工藤)

HB(工藤)

ライブ動画


どこか懐かしい香りがする。甘い匂い。かつて親しんだチャイムの音色がmuupyによって奏でられたこと、そして、ここが廃校とは言いながらまぎれもない学校であること、でも、それだけではないだろう。ドラムmaki999とエレキウッドベースのtucchieの変幻自在のリズムパート、その外へ突如飛び出す色とりどりの打楽器の音は、むしろ生い茂った密林を思い起こさせ、リバーブのかかった鉄琴2台によって体育館に呼び寄せられた亜熱帯へとわれわれをいざなう。叩くこと、はじくことが音の始まりだと皆が再確認してゆく。演奏が終わり、みなが体を揺するのをやめたとき、ふたたび雨の音に気づく。そうだ、外はどしゃ降りの豪雨である。恍惚の余韻は、西新宿のコンクリート・ジャングルに降り注ぐ晩春のスコールへ消えた。あの懐かしさは、もっと遠い記憶から来ていたんだろう。(山崎雄太)

disk unionインディーズのワゴンセール
disk unionインディーズのワゴンセール(工藤)

にせんねんもんだい
にせんねんもんだい(工藤)

にせんねんもんだい(工藤)

ライブ動画


廃校の体育館にたどり着くまでの激しい雨に若干憔悴して座り込んでいた観客たちが、いっせいにステージのほうへ駆け寄る。後ろを振り向くと、すごい数の人が詰めかけている。フェスの高揚感と期待で落ち着きのない群衆は、しかし高田さんがギターでモチーフを作るあいだに異様な集中力を見せ始める。ひたすら同じような金属音が繰り返し作られては消えていくなかで、授業は始まったのだ。最高に楽しいダンスミュージックの授業でもあり、歴史の授業でもある。音がフレーズになり、楽曲になり、ダンスナンバーへと成長する過程が紡がれていく。ドラムの姫野さんとベースの在川さんが加わって立ち上がる素晴らしい音楽(誕生の瞬間)、本当に、涙が滲んでくる。そぼ濡れた状態で音の洪水に飲まれながら、体を揺する。にせんねんもんだいを聴くことは、人生を変え得る、圧倒的で特権的な体験である。(山崎雄太)

ウリチパン郡
ウリチパン郡(工藤)

ウリチパン郡(工藤)

引き続き満員の体育館に登場したウリチパン郡。オオルタイチ氏はアコギを用意したもののほぼサンプラーがメインで、千住氏の技巧的かつたくましいビートに乗せて、二台のキーボートと一台のサンプラーとが絡み合いながらハイテンションで突き進む。ウタモ氏の歌声は広い体育館で、満員の人々の頭上をすーっと響き渡ってき、文句なしに美しい。音源とは大きく異なるよりサイケデリックなアレンジに、会場から若干の戸惑いを感じたのも事実だったが、以前の巻き込まれるような多幸感とはまた違う、見るものを凌駕するエネルギーに満ち溢れて、本当にあっという間のステージだった。外が晴れであったならもっと映えただろう。(柳川春香)

体育館(上山)

Rocket or Chiritori
Rocket or Chiritori(豊田)

Rocket or Chiritori(豊田)

ライブ動画


日本国内では実に10年ぶりの“ロケチリ”のライブパフォーマンス。そこには、雨中の靴の脱ぎ履きによる靴下の濡れなんかものともしない沢山の人がその瞬間を待っていた。「お久しぶりです。10年振りです」当時からの美しいメロディー、白い服を着た柴原聡子のか細いギターの音と声で透明だけれどもどこか毒やあきらめを含み体育館中に響く。「宅録」「少女」という10年前の表層的なキーワードを超えて、2009年のRocket or Chiritoriの音楽は初見の人にも旧来のファンにも堂々と瑞々しかった。(小田部明子)

SiMoN
SiMoN(工藤)

ライブ動画


舞台上ではなく、お客さんと同じ高さの体育館の床に立ち歌い始めたSiMoN。白い帽子をかぶった姿でマイクをその手に握り、ピアノ伴奏者とともにライブをスタート。良くも悪くも文化祭のような空間でのライブゆえ少々ざわついた雰囲気でのスタートだったが、とぼけた味わいも含んだ中性的な声が淡く透明な情景を描き出していった。この日歌われたのは「stand by me」をはじめとする数曲だったが、2009年は100本以上ライブをやるというSiMoNの世界を短い時間の中にも感じることができた。(小田部明子)

HARCO
HARCO(工藤)

HARCO(工藤)

ライブ動画


「江ノ島ラプソディ」「世界でいちばん頑張ってる君に」など、多くの場所で耳にすることができた曲をこの日のステージではグランドピアノ1台で弾き語り演奏。黒いカーテンを閉め切った体育館の薄暗い空間で、スポットライトが笑顔のHARCOを照らし出していた。お客さんを楽しませる明るいライブのムードは雨のうっとうしさをひと時忘れさせ、親しみやすいメロディーと歌詞で清涼感を運んできたHARCOのライブだった。(小田部明子)

体育館(上山)

東 雄一朗(Flight Of Idea)
東 雄一朗(Flight Of Idea)(上山)

キセル
キセル(上山)

キセル(工藤)

キセル(工藤)

小さな体育館の会場は始まる前から立ち見客で溢れかえっていた。それだけキセルを楽しみにしているお客さんは多かったということだ。そんな中で始まったライブ。最初は辻村豪文のギターと優しいボーカルが端緒を開いた。途中から辻村友晴の二胡の郷愁を誘うような音が入ると、完全に会場はキセルの空気だ。辻村豪文の少しくぐもったような声は、音の篭りがちな小さな体育館の至る所に跳ね返って、空間的な拡がりをみせる。観客もそれに連れて右へ左へゆっくりと体を揺らす。とにかくこのライブでは、お客さんが気持ちよさそうにしているのが印象的だった。それはキセルというアーティストの魅力そのものを顕著に表しているだろう。キセル兄弟がつむぎだす美しいコーラスワークとメロディは、みんなの「気持ち良いところ」をグッと掴んでくれた。そして、そんなライブに誰もが満足している様子だった。(池田悟)

入り口近くのホワイトボード
入り口近くのホワイトボード(上山)

曽我部恵一
曽我部恵一(工藤)

曽我部恵一(工藤)

曽我部恵一(上山)

ギター一本持たせて闘わせたら、こんなに多くの人をノック・アウトできる人間は世界にも数えるほどしかいないだろう。下北沢からコンビニ行くついでに来たような適当な格好で、伸びっぱなしの髪と髭、使い込んだギターを持った曽我部恵一は、ものの一分ほどで体育館すべてを魅了して見せる。顔面をクシャクシャにして声を張り上げる姿は、とっても美しく、豪雨のなか一日校内を駆けずり回ってきたであろうお客さんはそんな疲れなど忘れ、全力で向き合ってくれるこの人に全力で惹かれていく。圧巻はアンコールで、「廃校フェスはアンコール禁止らしいんだよ」と嘯きながらアンプラグドの「メロウマインド」。体育館に文字通り響き渡る生の声、みんなの衝撃が手に取るようにわかる。こんな体験そうはない! 恍惚に揺れる思いをそれぞれ抱えたまま、ぞろぞろと体育館をあとにする。廃校フェスは終わったが、曽我部さんも言っていた。「来年も来たいなァ」、と。(山崎雄太)

写真 / 豊田元洋、川口明日香、上山陽介、工藤あずさ
posted by 廃校フェス実行委員会 at 13:00 | TrackBack(0) | 体育館

2009年04月28日

HB

HBは、maki999を中心に2004年12月に結成された女性ミュージシャンユニット。 それぞれ異なるフィールドで活躍するミュージシャンが集まり、2005年にはフジロックフェスティバルに出演。 その後、ゲストやサポートを迎えながらたびたび編成を変え、maki999(drums&glocken)、muupy(percussion&didjeridoo)、tucchie(bass)の3人編成に至る。現在、東京を拠点に活動中。
サウンドの核となっているのは、ドラムとパーカッションによって構成される緻密なポリリズム。そこにベースやグロッケンのループを積み重ね、曲中に独特のグラデーションを作り出している。偶然の瞬間が連続するスリリングな展開はライブでも定評があり、クラブミュージックやエレクトロニカ、ダブ等の手法を取り入れながら、独自のリズムを追求している。

HB MySpace
myspace.com/hbhardblack

最新作『Hard Black』
『Hard Black』

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廃校フェス2009でのライブ写真と動画
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posted by 廃校フェス実行委員会 at 10:34 | TrackBack(0) | 体育館

2009年04月26日

SiMoN

SiMoN
1978年生まれ。出身は大阪だが、転勤族だった父親と共に、広島、兵庫、横浜と転々とする幼少期を過ごす。中学卒業後に音楽専門学校に入る。ボーカル、ギター、ドラムといろいろ学びながら、その学校には計6年いることになる。専門学校に在籍していた時からバンド活動を始め、ライブに宅録に勤しむ。Sir john soane arT Club、WON?、blgtzなどのバンドでドラムで活動をする。

SiMoNとしてのソロ活動は2002年頃から、バンド活動と並行して始める。主に下北沢駅前でのストリートライブを中心に年間150回以上のライブをこなす。全国各地をツアーで周り続け、今では東京以外にも大阪や札幌でも自主企画を立ち上げている。幾つかのコンピレーションに参加後、2007年にデビュー・ミニアルバム『follow the arrows and you will find the sun』をリリース。

最新作『follow the arrows and you will find the sun』
『follow the arrows and you will find the sun』

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廃校フェス2009でのライブ写真と動画
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posted by 廃校フェス実行委員会 at 00:33 | TrackBack(0) | 体育館