2010年03月12日

「ぐるぐる回る2010」、6/26に埼玉スタジアムにて開催!

ぐるぐる回る2010
日程:2010年6月26日(土)
場所:埼玉スタジアム2002(のコンコース)
時間:12時開場 20時30分終了
チケット:前売り3,200円 当日4,000円

前売券はe+(イープラス)とdiskunion都内各店にて、5/1から発売。さらに、さいたま市限定のディスカウントチケットをdiskunion北浦和店にて発売します。

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2008、2009年に新宿の芸能花伝舎(旧淀橋第三小学校)にて開催された「廃校フェス」。学校校舎という舞台を使って、音楽ライブを始め、アートマーケットやワークショップ、映像上映などを取り入れたインディーフェスは、大きな反響と来場者の確かな満足を得る結果を生み出しました。しかし、今年は会場の芸能花伝舎側が難色を示し、開催を断念。だが、一昨年、昨年と盛り上がってきた勢いを、今年はさらに拡大したい思いから、場所を移して開催することとなりました。学校では無くなるので名称も変わりますが、インディーの祭典としての志をそのままに、国内最大のインディーフェスを目指します。

日程は6/26(土)で、場所は埼玉スタジアムです。といっても、フィールド部分を使うのではなく、その周りのコンコース部分を使った世界初(?)のロックフェスです。コンコースとはつまり廊下のことですが、6万人収容のスタジアムだけあって、幅も広く、一周800Mぐらいあります。その広い空間を自由な解放区にして、大小7つのステージを配置、ステージ間にはアートマーケット、インタラクティブ映像、パフォーマンス、ワークショップなどを配置して、来場者はそこをぐるぐる回ることで、いろいろなカルチャーを体験できるという内容です。また上の階にもステージやクラブスペースを配置します。廃校フェスの時と同様、各ステージにはそれぞれキュレーター(イベンター)を立てて、独立して出演バンドを選び、それぞれの内容を競い合うショウケーススタイルです。出演アーティストは順次公開していきます。またアートマーケットの参加者も募集しています。

本来、ライブをやるところではなく、前例もないので、試行錯誤のフェスになりますが、日本のSouth by South WestかAll Tommorow's Partiesを目指して頑張りますので、ぜひともご来場ください!

ぐるぐる回る2010 公式サイト
http://www.gurugurumawaru.net/

出演予定アーティスト
[ライブ] 111組(順不同)
渋さ知らズオーケストラ / 七尾旅人 / Riddim Saunter / neco眠る / the chef cooks me / ECD(ソロ) / Luminous Orange / オシリペンペンズ / LOVES. / 踊ろうマチルダ / Traks Boys / 大谷能生mjqt / YOMOYA / 突然段ボール / miyauchi yuri / 住所不定無職 / 3nd / LUVRAW & BTB + Mr.MELODY (PAN PACIFIC PLAYA) / 2MUCH CREW / 魔ゼルな規犬 / ううじん / euphoria / 4 bonjour's parties / 桜井まみ(audio safari) / 松倉如子と渡辺勝 / uhnellys / MARUOSA / 俺はこんなもんじゃない/ 夏目知幸(from シャムキャッツ) / Yucca / ウミネコサウンズ / cryv / 水玉おんらいん(from秋葉原ディアステージ) / kito-mizukumi rouber / マイケルjapan / 高品格 / FRATENN / 東京カランコロン / キツネの嫁入り / 三輪二郎 / cero / T.V.not january / DACOTA SPEAKER.. / mmm / あだち麗三郎 with special magical guests / core of bells / 表現(hyogen) / 笹口騒音ハーモニカ(from 太平洋不知火楽団) / Michiluca / NRQ / Flight of Idea / タカハシヒョウリ(from オワリカラ) / LFQ / polylis / Night! & Night! Production / 大福 / Karluv207/ The OPQRs / emulsion / LOWBORN SOUNDSYSTEM / de!nial / CDR / 川染喜弘Yoshihiro Kawasome / バロムワン / 西宮灰鼠 / hennna dress(変なドレス) / ダウヂング同好会 / NYU! / jiji 4 sex / 生死鴉 / 殺人ペットサウンズ / 中川一郎 / BAAAK BONKDOM / ズーチクビ / yumeiroecho / risu / 木蓮 / 片端のカリーズ / 水野勇希 / スカイブルー100 / work{holiday:timewaste;}/ ファンシーナムナム / AZFLY / 馬喰町バンド / LIFE IS WATER / Utopia2 / ICECREAMMAN / TRASH SUGAR / Temple Book / 源 -minamoto- / DIRECT LIGHTNING STROKE / macotom3 / アナマルマーケット / ソニックデスモンキー / 大森靖子 / モガブティック◆スパンコール / かんぴんたん / Virusroom / the pikadoria + UNO(シャナイキンカン) / やまのいゆずる / NAGOMI/ ドイウロコ(キリン) / アビシェイカー / タコの唐揚げ / らら(lala) / あなるちゃん / くもりな / 松野泉 / 鈴木伸明 / Your Last Chicken / Allon /

[DJ] 27組
Eccy / スガユウスケ (FUTURETECH/Silent Music) / FUJINO▼ / DJ HIROAKI (PSYCHOGEM / ene) / ZIPLOCKERS
(MNM)
/ 鴨居哲也 / RYOTA (Pivote) / 高田ジョージ (FUTURETECH/T.R.F Rec) / An' (FUTURETECH/AREION) / YOUICHIROO.M (A.S.A GAYA MUSIC) / eRee (FUTURETECH/Silent Music) / YU-TA MATSUO (Sunrising/Harmonize) / ryo of dextrax (dextrax) / 401 (LIVErary) / foliday / YOSHIBA SHINJI / 座禅BEAT / NMR /penpenpenzie (scale graph) / shirochang (SHINING) / CLOCKY (SHINING) / halfmoon (A.130/ApronDisco) / DJ Matsu (Trip! Trip! Trip!) / DJ yuichi (Owl-light) / DJ moc / 古澤彰(LOWBORN SOUNDSYSTEM)/ 現実 / swap tv

[トークショー] 4組
大月壮(映像作家) / ファンタジスタ歌磨呂(イラストレーター) / 喪服ちゃん(株式会社モエジャパン社長) / 卯城竜太(chim↑pom 現代美術家)

[アート] 7組
イシイアキ(帽子作家) / 小川武(造形作家) / 小田富美子(美術作家) / 西宮灰鼠 / 鈴木 竜一朗(日光堂)

[ポエトリーリーディング] 4組
白石かずこ / TASKE / 猫道×ナガイ昆布 / 鬱とエロと漫画と音楽と破戒衝動

[パフォーマンス] 8組
もび / 岸洋子 / 向雲太郎(大駱駝艦) / カポエィラ・テンポ / コッペリア(紫ベビードール)/ BJORN & LEO / 小村恵美(ゲームのお姉さん) / Pマン / 住吉梨紗 / 七雪ニコ

[ライブペインティング] 4組
/ 悪鏡 / 由利ちゃん愛の旅立ち / Tako★MASARU

[VJ]
ZOE / Okupara(Sonicjam inc.) / DRIFTERS LAB. / BlokM+MasudaMidori / RE:VISE


ぐるぐる回る2010会場

ぐるぐる回る2010会場

ぐるぐる回る2010会場
posted by 廃校フェス実行委員会 at 13:23 | TrackBack(2) | ぐるぐる回る2010開催!

2009年06月24日

廃校フェス2009終了、ご来場ありがとうございました。

廃校フェス2009

「廃校になった校舎でロックフェスをやったら楽しそう。教室や体育館でライブをやったり、ギャラリー開いたり、映像流したり、演劇をやったり、カフェ開いたりして、文化祭のようなロックフェスをしてみたい!」こんな思いつきから始まった企画、「廃校フェス」。

日程:2009年5月6日(水・休日)
場所:芸能花伝舎(旧淀橋第三小学校)

出演(順不同):
出演(順不同):
曽我部恵一 / キセル / HARCO / Rocket or Chiritori / ウリチパン郡 / にせんねんもんだい / nhhmbase / Limited Express (has gone?) / イルリメ / サイプレス上野とロベルト吉野 / younGSounds / miaou / 9dw(nine days wonder) / 石橋英子×アチコ / BREAKfAST / ゆーきゃん / 百景-Hyakkei- / cryv / henrytennis / sugar plant / とうめいロボ / HB / SiMoN / shibata emico / trico! / catsup / Pマン / 小村恵美 / 西宮灰鼠 / JON(犬) / OmeZombie+大竹康範(マヒルノ)+A(sajjanu) +Kevin / Motallica / OPQ / shibata & asuna / / Hidenobu Ito / 鈴木康文+山本達久 / yudayajazz / folk squat / 笹倉慎介 / キツネの嫁入り / 東 雄一朗(Flight Of Idea) / 玉城光 / いなかやろう / フニャコツ・チン / onnacodomo / あだち麗三郎 / 表現(hyogen) / Karluv207 / 藤本ケイジョウ / WSZ80 / hitori / eyama / Cbtek! / Yellow Peril / 關伊佐央 / 若松さやこ / ヒナミケイスケ! / OHPIA / ケンジルビエン(BABY-Q) / 東京月桃三味線 / ダーティーボウイふろむヘル / 坂本移動どうぶつ園 / UTOPIA3 / Devgoh Ash / BAAAK BONKDOM / 高電気商会 / 箕浦建太郎 / ねろ(赤い疑惑) / 潮田雄一 / Overload Collapse(from Switzerland) / Life Is Water (DIEGO) / DJ DAVE BROEKEMA(from San Francisco) / ドームクリエイターチーム『BOND』 / 内藤コドモ / モガブティック◆スパンコール / 日本春歌考 / Yooda / 生死鴉 / 殺人ペットサウンズ / あなるちゃん / henna dressICHASU / 直江実樹 / Dai-Go!Low / 魔ゼルな規犬 / Lala(らら) / 主体性ボーイズ草食系 / disk-3 / 悪魔大根

主催: 廃校フェス実行委員会 / blunstone inc.
後援: disk union / アクセルマーク株式会社


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フェス当日のフォト&レビューを掲載しています。

校庭、校内
体育館
1-1
1-2
1-3
1-4
G-1
G-2
S-1A
S-1B
男子更衣室
女子更衣室
posted by 廃校フェス実行委員会 at 00:00 | TrackBack(2) | 廃校フェスについて

2009年06月23日

フェスの思い出アルバム

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写真 / 豊田元洋、川口明日香、上山陽介、工藤あずさ
posted by 廃校フェス実行委員会 at 14:00 | TrackBack(0) | 校庭、校内

体育館:ライブレビュー

開演前
開演前(川口)

folk squat
folk squat(川口)

folk squat(工藤)

ライブ動画


トップを飾ったfolk squitは、ギター・ボーカル、ベース、ラップトップに、COMA*よりサポートドラムを加え3人編成で広い体育館に登場。ゆるやかに集まってきたお客さんはまだエンジンがかかっていない様子だったが、マイペースに芯の通った演奏を見せてくれた。洋楽の影響とエレクトロニカの要素が強く感じられる彼らの楽曲だが、ライブは少ない音数とアンサンブルで聞かせる、職人的要素を感じさせるもの。生音の隙間を埋める電子音が実に心地よく響き、水彩絵の具を塗り重ねていくような空間作りは体育館というシチュエーションには全然合っていなかったものの(笑)、爽やかに吹き抜けるスタートに相応しい演奏だった。(柳川春香)

HB
HB(工藤)

HB(工藤)

ライブ動画


どこか懐かしい香りがする。甘い匂い。かつて親しんだチャイムの音色がmuupyによって奏でられたこと、そして、ここが廃校とは言いながらまぎれもない学校であること、でも、それだけではないだろう。ドラムmaki999とエレキウッドベースのtucchieの変幻自在のリズムパート、その外へ突如飛び出す色とりどりの打楽器の音は、むしろ生い茂った密林を思い起こさせ、リバーブのかかった鉄琴2台によって体育館に呼び寄せられた亜熱帯へとわれわれをいざなう。叩くこと、はじくことが音の始まりだと皆が再確認してゆく。演奏が終わり、みなが体を揺するのをやめたとき、ふたたび雨の音に気づく。そうだ、外はどしゃ降りの豪雨である。恍惚の余韻は、西新宿のコンクリート・ジャングルに降り注ぐ晩春のスコールへ消えた。あの懐かしさは、もっと遠い記憶から来ていたんだろう。(山崎雄太)

disk unionインディーズのワゴンセール
disk unionインディーズのワゴンセール(工藤)

にせんねんもんだい
にせんねんもんだい(工藤)

にせんねんもんだい(工藤)

ライブ動画


廃校の体育館にたどり着くまでの激しい雨に若干憔悴して座り込んでいた観客たちが、いっせいにステージのほうへ駆け寄る。後ろを振り向くと、すごい数の人が詰めかけている。フェスの高揚感と期待で落ち着きのない群衆は、しかし高田さんがギターでモチーフを作るあいだに異様な集中力を見せ始める。ひたすら同じような金属音が繰り返し作られては消えていくなかで、授業は始まったのだ。最高に楽しいダンスミュージックの授業でもあり、歴史の授業でもある。音がフレーズになり、楽曲になり、ダンスナンバーへと成長する過程が紡がれていく。ドラムの姫野さんとベースの在川さんが加わって立ち上がる素晴らしい音楽(誕生の瞬間)、本当に、涙が滲んでくる。そぼ濡れた状態で音の洪水に飲まれながら、体を揺する。にせんねんもんだいを聴くことは、人生を変え得る、圧倒的で特権的な体験である。(山崎雄太)

ウリチパン郡
ウリチパン郡(工藤)

ウリチパン郡(工藤)

引き続き満員の体育館に登場したウリチパン郡。オオルタイチ氏はアコギを用意したもののほぼサンプラーがメインで、千住氏の技巧的かつたくましいビートに乗せて、二台のキーボートと一台のサンプラーとが絡み合いながらハイテンションで突き進む。ウタモ氏の歌声は広い体育館で、満員の人々の頭上をすーっと響き渡ってき、文句なしに美しい。音源とは大きく異なるよりサイケデリックなアレンジに、会場から若干の戸惑いを感じたのも事実だったが、以前の巻き込まれるような多幸感とはまた違う、見るものを凌駕するエネルギーに満ち溢れて、本当にあっという間のステージだった。外が晴れであったならもっと映えただろう。(柳川春香)

体育館(上山)

Rocket or Chiritori
Rocket or Chiritori(豊田)

Rocket or Chiritori(豊田)

ライブ動画


日本国内では実に10年ぶりの“ロケチリ”のライブパフォーマンス。そこには、雨中の靴の脱ぎ履きによる靴下の濡れなんかものともしない沢山の人がその瞬間を待っていた。「お久しぶりです。10年振りです」当時からの美しいメロディー、白い服を着た柴原聡子のか細いギターの音と声で透明だけれどもどこか毒やあきらめを含み体育館中に響く。「宅録」「少女」という10年前の表層的なキーワードを超えて、2009年のRocket or Chiritoriの音楽は初見の人にも旧来のファンにも堂々と瑞々しかった。(小田部明子)

SiMoN
SiMoN(工藤)

ライブ動画


舞台上ではなく、お客さんと同じ高さの体育館の床に立ち歌い始めたSiMoN。白い帽子をかぶった姿でマイクをその手に握り、ピアノ伴奏者とともにライブをスタート。良くも悪くも文化祭のような空間でのライブゆえ少々ざわついた雰囲気でのスタートだったが、とぼけた味わいも含んだ中性的な声が淡く透明な情景を描き出していった。この日歌われたのは「stand by me」をはじめとする数曲だったが、2009年は100本以上ライブをやるというSiMoNの世界を短い時間の中にも感じることができた。(小田部明子)

HARCO
HARCO(工藤)

HARCO(工藤)

ライブ動画


「江ノ島ラプソディ」「世界でいちばん頑張ってる君に」など、多くの場所で耳にすることができた曲をこの日のステージではグランドピアノ1台で弾き語り演奏。黒いカーテンを閉め切った体育館の薄暗い空間で、スポットライトが笑顔のHARCOを照らし出していた。お客さんを楽しませる明るいライブのムードは雨のうっとうしさをひと時忘れさせ、親しみやすいメロディーと歌詞で清涼感を運んできたHARCOのライブだった。(小田部明子)

体育館(上山)

東 雄一朗(Flight Of Idea)
東 雄一朗(Flight Of Idea)(上山)

キセル
キセル(上山)

キセル(工藤)

キセル(工藤)

小さな体育館の会場は始まる前から立ち見客で溢れかえっていた。それだけキセルを楽しみにしているお客さんは多かったということだ。そんな中で始まったライブ。最初は辻村豪文のギターと優しいボーカルが端緒を開いた。途中から辻村友晴の二胡の郷愁を誘うような音が入ると、完全に会場はキセルの空気だ。辻村豪文の少しくぐもったような声は、音の篭りがちな小さな体育館の至る所に跳ね返って、空間的な拡がりをみせる。観客もそれに連れて右へ左へゆっくりと体を揺らす。とにかくこのライブでは、お客さんが気持ちよさそうにしているのが印象的だった。それはキセルというアーティストの魅力そのものを顕著に表しているだろう。キセル兄弟がつむぎだす美しいコーラスワークとメロディは、みんなの「気持ち良いところ」をグッと掴んでくれた。そして、そんなライブに誰もが満足している様子だった。(池田悟)

入り口近くのホワイトボード
入り口近くのホワイトボード(上山)

曽我部恵一
曽我部恵一(工藤)

曽我部恵一(工藤)

曽我部恵一(上山)

ギター一本持たせて闘わせたら、こんなに多くの人をノック・アウトできる人間は世界にも数えるほどしかいないだろう。下北沢からコンビニ行くついでに来たような適当な格好で、伸びっぱなしの髪と髭、使い込んだギターを持った曽我部恵一は、ものの一分ほどで体育館すべてを魅了して見せる。顔面をクシャクシャにして声を張り上げる姿は、とっても美しく、豪雨のなか一日校内を駆けずり回ってきたであろうお客さんはそんな疲れなど忘れ、全力で向き合ってくれるこの人に全力で惹かれていく。圧巻はアンコールで、「廃校フェスはアンコール禁止らしいんだよ」と嘯きながらアンプラグドの「メロウマインド」。体育館に文字通り響き渡る生の声、みんなの衝撃が手に取るようにわかる。こんな体験そうはない! 恍惚に揺れる思いをそれぞれ抱えたまま、ぞろぞろと体育館をあとにする。廃校フェスは終わったが、曽我部さんも言っていた。「来年も来たいなァ」、と。(山崎雄太)

写真 / 豊田元洋、川口明日香、上山陽介、工藤あずさ
posted by 廃校フェス実行委員会 at 13:00 | TrackBack(0) | 体育館

1-1教室:ライブレビュー

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玉城光
玉城光(工藤)

廃校フェス初参戦の初ライブ 1−1 玉城光。あいにくの雨にも関わらず、教室に入るとホワ〜ンと懐かしいというのか何ともいえずいい空気。小学校のバザーを訪仏とさせる手作り品の店の数々。ステージの前に図工室のイスを並べ始めるスタッフの人。ゆるいぞ、1年1組教室。そんな中で飲むビールの罪悪感と昼間から飲むビールの優越感に包まれながら、玉城さん登場。アコギにハーモニカ、カズーの音が彼のフニャフニャな声、草食男子系雰囲気と相まって独特ないい感じをかもし出してた。ちょっと暗いんですけど、と自信なさそうにいいながら歌いだした「冬の歌」、御地蔵さん好きの私にはたまらなかった「御地蔵さん」、一緒に見てた友達のこと歌ってんのかと思って爆笑した「酔っ払い娘」、どれも個性的なリリックがおもしろい。アコースティック、フォーク系はもともと好きなのもあって、かなりいい感じで酔い、玉城さんのMCに茶々入れたりして、フェス気分が満喫できたライブだった。(鈴木知美)

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とうめいロボ
とうめいロボ(工藤)

とうめいロボ(工藤)

ライブ動画


雑然とした教室。外は朝から雨が降っている。強い湿気と祭りの空気が教室に充満する中、一人の女性が、小さな教室の隅の簡素な舞台の上に立つ。軽く息を吸う、ギターの弦に手を添える、その視線は中空に向けられていている。彼女が静かに歌い始める。彼女の名前はとうめいロボ。彼女の歌は、息がつまるようなシリアスと、優しさに満ちたユーモアが渾然一体となっている。『雪』のように聴く者を打ち震わす曲も、『黒猫音頭』のように踊れる楽しい曲も、全く同じように、分離の隙間なく、その呼吸と声で歌い上げる。人で溢れかえった教室は、水を打ったように静まり返り、さっきまで不快で仕方なかった高い湿度に、懐かしい心地良ささえ覚えてしまう。教室中の人々が、目の前のとうめいロボの潤った歌声、抑揚のついた呼吸に、全てを委ねている。シンガーソングライターが歌う理由そのものが、一人の女性の身体と声を借りて、その存在を廃校の片隅に、優しく響かせているようだった。(藤本類)

アートマーケット出店者の皆さん
アートマーケット(豊田)

アートマーケット(豊田)

アートマーケット(豊田)

アートマーケット(豊田)

アートマーケット(豊田)


とうめいロボさんも出店
アートマーケット(豊田)

ゆーきゃん
ゆーきゃん(豊田)

ゆーきゃん(工藤)

ライブ動画


優れたシンガーソングライターとして活躍する傍ら、今回の廃校フェスに共通するアティテュードを持つ、関西の一大D.I.Yフェスティバル「ボロ・フェスタ」を有志と共に主催し、運営し続けてきたゆーきゃん。だからであろうか、この廃校フェスにおける彼のライブも、どこか懐かしげで、親しみと優しさに溢れた空気が充満していた。おそらくゆーきゃんにとっては、実際に舞台の上に立ち、お客の前でギターを弾いて歌を歌うことと、自身がオーガナイザーとなって、イベントを通してたくさんの音楽を作り出し、それをお客に届けることとの間に乖離が全く無いのであろう。どちらも切実で、命がけのゆーきゃんの「歌」なのだ。(藤本類)

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trico!
trico!(工藤)

trico!(工藤)

にせんねんもんだいの余韻冷めやらぬまま、ウリチパン群を見るという友達と別れ、またまた1組へ戻る。trico!名前から想像できずどんな音だろうと思っていたけど、始まると納得。ウッドベースとバイオリン、アコーディオンなどいろんな弦楽器の音が合わさってヨーロピアンな空気が1組を包み、ここが一瞬新宿なのを忘れてしまうようなそんな場所に連れていってくれた。しまいにはVoのリエさんが古いトイピアノを持ち出し、シンバルを持った猿のおもちゃですら音楽のリズムに加えてしまった。日本人離れしたセンスに圧巻されつつ、英語のリリックに日本語アクセントが強いのがかえって好感が持てた日頃偏ったジャンルしか聞いてない私にとっては目からウロコだった。まだ半分も終わってない時点で、ありがとー、廃校フェス!と思うのでした。(鈴木知美)


キツネの嫁入り
キツネの嫁入り(工藤)

キツネの嫁入り(工藤)

ライブ動画


京都からやってきたキツネの嫁入りは、京都っぽいと言うと安易かもしれないが、名の通り日本の昔話を思い起こさせる独特の空気を纏い、放つバンド。アコースティックギター、アコーディオン、パーカッションをバックに絡み合う男声女声は伸びやかで美しく、踊るように体を揺らしながらの演奏は見目にも麗しい。変拍子の曲も多く、リズムがとても大事にされたパーカッシブな演奏は、日本だけでなく伝統音楽全体に通じる肉体性を感じた。かといって仰々しすぎることはなく、様々なパーカッションや時に木琴を使った楽曲は、教室の空気にカラフルな色を塗っていくような親しみやすさもあり、見ていて笑顔になれるライブだった。ぜひまた関東にライブに来てほしい。(柳川春香)

catsup
CATSUP(工藤)

CATSUP(工藤)

だんだん異国な空気が流れてきた1組に戻り、CATSUPを見る。ウッドベースとアコーディオンの2人組という構成がさっき見たtrico!と似ているけど、こちらは兄妹だけあって、息はピッタリ、絵本からそのまま出てきた楽曲に吸い込まれいつの間にか一番前の席で見ていたほど。ときに激しくアコ−ディオンを奏でる妹るつこさんに目はくぎ付けに、ブルガリアでも演奏を披露したという兄よしとさんの照れMCに暖かい雰囲気に包まれながら、一曲一曲丁寧に愛情を込めて演奏する2人が印象的だった。かちかち山みたいな雰囲気の曲から、友達に彼氏ができたときに作ったという可愛い曲まで、子供に戻って紙芝居を見てるみたいにあっという間に時間が過ぎていった。なんか今回1組のライブをたくさん見たおかげで、いろんな音楽の楽しみを再認識した気がする。(鈴木知美)

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石橋英子×アチコ
石橋英子のピアノとコーラス、アチコの歌声。そこにあるのはただそれだけ。それをことさらに書き立てたり、比喩を使ってみたりしても何も伝わらない。それは、二人の音楽があまりに強いから。その強さはしかし、評論家気分の分かった風なウンチクや小難しいポーズを嗤う冷たさとは裏腹に、あらゆるものたちの音楽を強烈に愛する優しさを持つ。椅子の軋み、子どもの声、雨音、揺れる灯り、ため息…石橋英子×アチコに触発され漏れ出してしまったあらゆる音楽が、見る見る間にピアノと歌のアンサンブルに吸い込まれ、それらと共振を始めてしまう。いつまでもこの音楽を浴び続けていたいと強く願った。(藤本類)


笹倉慎介
私にとって廃校フェス最後のライブ、笹倉慎介を見にこの日もっとも入り浸った1組へ。うちは、母がフォーク大好きで、ボブディランやら吉田拓郎やらそういうのが小さい頃からうちでかかっていた。笹倉さんの楽曲を聴いたら、タイムマシンに乗ったかのようにあの頃の自分のまわりの空気や匂いを思い出した。爽やかな声に正統派フォーク、ハーモニカの音、途中笹倉さんが開けたいといって開けた窓から流れてくる雨上がりの匂いの風、全部が綺麗なハーモニーになって私の中に沁み込んでくる。かなり好きだーこういう曲!こういう雰囲気!と興奮し、もらったフライヤーを見ると、なんとうちの近所在住らしい。これは是非母と一緒に行かねば!なんでも笹倉さんは当時の雰囲気を求め米軍ハウスに移り住んで生活をしてるらしい。自分の一番好きなことをし、好きな場所で生活する、当たり前だけど実際一番難しいそんなライフスタイルが笹倉さんの楽曲にすべて出ている気がした。(鈴木知美)

写真 / 豊田元洋、工藤あずさ
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